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アニメーター待遇問題~~で、結局何が悪いのか? 諸悪の根源はメーカー?~~

 ただ、仮に局印税のような仕組みがあったとしても全体からすれば僅かなウェイトを占めるに過ぎず、その問題が取り除かれたとしても根本的な解決には結び付かないだろう。

国会でしばしば、福祉・社会保障や雇用を充実させるためにも、成長戦略によって経済のパイを増やさなければならない、といった議論がなされる。

アニメ業界も同じである。グッズ(Blu-rayソフトその他)の売り上げを伸ばし財源の裏付けができて初めて、アニメーターなどクリエイターの待遇改善問題に取り組める

最近、Blu-rayソフト等の売り上げに陰りが見られるという。しかし、それは起こるべくして起きていることなのではないかと思わざるを得ない。

けっして作品の質が落ちたりとか、そういうことではない。
作品のトレンドが自分らの望むものとは違い気に入らないからって中傷する人たちもいるが、日本のアニメはいまだ総じて高い質を保っているように思う。

ではなぜBlu-rayソフト等の売り上げが落ちてきたのだろうか?

それはメーカー(Blu-rayソフトパッケージ等の企画を担う企業)の売り方に問題があるのではないかと思う。

かれらはまったくユーザーの目線に立っていない。

愛好家、ユーザーの一人として言わせてもらうと、メーカーの販売するBlu-rayソフトパッケージに対する満足度は作品の質とは裏腹に著しく低い。

何といってもその図体のデカさが問題だ。
1枚の円盤に30分番組わずか2話分しか収録されない。したがってわずか1クール12話のタイトルでも全話揃えて6巻ということになる。
そして、各巻にわけのわからない特典とやらが山のようについてくる。
各巻にブックレット、さらにそれとは別によくわからない漫画だの中には小説だのといった特典がついてくることがよくある。
ブックレットは全話通して1冊だけあればいいだろう。各巻に添付するとかマヌケにもほどがある。漫画や小説なんかはいらない。
中でも最悪なのはCDだ。嵩と重量を著しく増大させる元凶である。需要があるのならBlu-rayソフトとは別に売ればよかろう。
このほかにもごちゃごちゃした訳の分からない特典がよくついてくる。

その他、ケースのサイズがメーカーごとにバラバラで統一感がないこと、たまにアニメのBlu-rayなのにジャケ絵を原作者に描かせたりすること・・・など、苛立たされることと言えば枚挙にいとまがない。

特典商法というのか知らないが、あれでは買おうという意欲なんかとてもじゃないが起きない。

いまのアニメBlu-rayソフトは、もともとアニメに対し特別に興味はないが、たまたま目にしたアニメにものすごく嵌って購入に至ったというような人向けの装丁で、一生に1タイトルか2タイトル買うような人のための仕様ではないかと思う。
恒常的にコレクションしてるような人向けではない。

私のところはもう飽和状態だ。
私も最近、「まほろまてぃっく」シリーズや「この醜くも美しい世界」「神無月の巫女」といったタイトルを泣く泣く処分した。

せいぜい1クール12話の作品は3巻程度にする。あとはごく薄いBOXとブックレット1冊あれば充分である。余計な特典を排して製造コストを削減し値段も実売価格3万程度に抑える。そういうことしないとこの先円盤モデルは維持できないと思う。

 

円盤モデルにおいて、もう一つ重要な問題点が、ユーザー側の選択肢が4万円近くするBlu-rayの購入ほぼ一択しかないという点である。

円盤購入は、応援消費的な意味合いもある。4万円近く出すのはきついが、自分を楽しませてくれたスタッフにできる範囲で報いたい、と思っても、他の選択肢が存在しないのだ。

そんな中、2013年に放送された「GJ部(グッジョぶ)」(日本テレビ系)という作品では、正規版の他に、約半年後、「りぴーと!でぃすく」という簡易版(※1)Blu-rayソフトが発売され注目された。
1枚で全話収録したもので、実勢価格で8000円前後だ。これは大変に評判がよかった。

 

GJ部 りぴーと!  でぃすく [Blu-ray]

GJ部 りぴーと! でぃすく [Blu-ray]

 

 

ちなみに、販売枚数は、正規版が3000枚程度、「りぴーと!でぃすく」が5000枚程度とのことである。

この「GJ部」の販売スタイルは、正規版の購入には至らなかったが、画質にそれほど拘らず、お手ごろな価格であったり簡素な装丁であれば購入したい、という需要を顕在化させたということで画期的な試みであった。

しかし、残念ながらこうした試みは広まらなかった。

それというのも、「GJ部」という作品がかなり特殊な立ち位置にいる作品であった、ということと関係する。

GJ部」は深夜アニメとしては珍しい、日テレ系列で放送された。

通常、現在の深夜アニメは、作品ごとに様々な関連企業などが製作委員会という組織を作り、資金を出し合って制作会社(実際にアニメーションを作る)に発注、受け取ったアニメ作品をテレビだ局の放送枠を買って放送してもらう、という形態をとる。

日テレの場合は、深夜アニメでも、製作委員会を介さず局が直接制作会社に発注するスタイルが多い(かつてテレビアニメーションといえばすべてそのような形でつくられていた)。製作者のうちの一社、バップというのも日テレのグループ企業だ。ソフトパッケージの販売等を手掛けている。

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GJ部」の販売スタイルが広がらなかった理由は、これはあくまでも私の推測だが、
放送局が自分らを二次利用許諾の窓口とするよう要求しているという話であったが、その局が(自分らの実入りが細るのを怖れ)絶大な力によってそうしたものの販売を阻んでいるのではないだろうかということだ。

「簡易版」DISKについては、放送からかなり経っているのであるが、最近「ひぐらしのなく頃に」シリーズも発売された。
偶然か、この作品もアニメを大量に放送してるU局では放送されていない。

しかし、そもそも正規版と簡易版に対する需要は前述のように全く被らないので、簡易版の発売が正規版の売り上げに影響することは殆どないと考えられる。

また、正規版は売れないが、簡易版なら相当数売れる、というタイプの作品だってあるだろう。

保存用としての正規版、視聴用としての簡易版というように、2種同時に購入するような需要もあるかもしれない。

販売戦略はそれぞれの製作委員会が決めればいいことで、局が一律に押し付けてはいけない。

仮にもしこういうことがあるとしたら、局印税よりもはるかに大きな問題である。

やはり国会の場ででも追及していただかないとだめではないだろうか。業界の自浄作用に期待できそうにない。


話が前後してしまうが、

円盤モデルは限界がきたと主張する人がいるが、私はそうは思わない。

そのような人たちは、配信などにシフトすべきだという。

しかし、配信で得られる収益はたかが知れている。

円盤はたとえ簡易版であったとしても、まとまった収益になる。

その金額は単位時間あたりでみれば映画館でアニメ映画を見るのと同程度の負担(貢献)である、

また、円盤はユーザーにとってもメリットがある。

なんといっても耐久性において圧倒的なアドバンテージがある。

市販メディア等に録画したものは想像されてたよりもはるかに短命である。

配信も突然なくなるリスクがある。

やはり今後も円盤モデルを主軸に据えるべきであろう。

 

(※1)タイトル1枚程度に収められたディスクのことを便宜上そのように命名した。1枚に大量のデータを詰め込むため、画質がある程度犠牲になっている。「正規版」発売後にやや価格を抑えた「廉価版」が発売されることがあるが、それとはコンセプトを異にするものである。なお、廉価版も簡易版も正規品であることにはかわらない。