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アニメ・漫画規制問題を考える

児童ポルノ規制法とは?

 児童ポルノ規制法(※1)でもってアニメ・漫画・ゲームを取り締まろうとする動きが依然くすぶっている。

ところで、そもそも児童ポルノ規制法とは何か?

児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」という名称の国際会議があるが、児童ポルノ規制法も児童の「性的搾取」防止の一環として導入された。児童の性的搾取とは、その字のごとく、未成年者の性風俗産業での使役である。未成年者をポルノに出演させるのは禁止しようという取り組みであった。

ところが、そうした「児童の性的搾取防止」の一環としての児童ポルノ排除アクションはいつしか「『未成年者を性的対象とすることそのものが害悪』であり、これを制圧しなければならない」、とする趣旨に歪められる形で肥大化した。。

その結果、「未成年者を性的対象とする風潮」や「未成年者に対する性犯罪」を助長するとして、本来児童ポルノの定義(=未成年者を出演させるポルノ)には含まれない(含まれるべくもない)、彼らが一方的に「児童ポルノ的なもの」とみなすものにまでもその矛先が向けられることとなり、ことごとく取り締まりの対象にされようとし、また一部の国ではすでにされている。

具体的には、童顔だったり、背が低かったり、胸が小さいなど子供的特徴を有する成人女性の出演するポルノ・AV類、アイテムやシチュエーション等による未成年者を演出(学校、制服等)した成人出演のポルノ、AVといったものであり、その延長上に漫画やアニメ等がある。


※1)児童ポルノ規制法における「児童」とは18歳未満の未成年者全般を指す。一般的に使われる、小学生とは異なる。

意味のない規制 

性的指向(嗜好・性癖)と性犯罪は分けて考えないといけない。
例えば、金銭欲があるからといって人はみな銀行強盗をするわけではない。
同様に、性欲が直ちに性犯罪に結びつくわけでもない。

また、規制推進論者たちは、子供に対する性犯罪はもっぱら小児性愛者たちによっておこなわれている、よって小児性愛を制圧しなければならないとしているが、このような考えは明らかに誤りである。

一見成人女性を性的対象としているような男性によって、子供に対する性犯罪の多くがなされている(こういう人たちはチャイルドマレスターと呼ばれる)。
子供に対する性犯罪の多くは、実の父親や義父(再婚等で血のつながらない父親)等によるものだ(こうしたものは隠蔽されやすく、なかなか実態がわからないが、日本において児童相談所の統計によれば少なくとも4桁が報告されている)。
また、1人のレイプ犯の被害者の年齢が一桁から50代と多岐に渡っていたという例はよくある。

これは何も不思議なことでなく、男性にとって対象の年齢は無数にある基準の一つに過ぎず、それとは別の要素を背景とする性欲の形は無数にあるからだ。世の中の性は「子供性愛」と「成人性愛」に二分できるような単純なものではない。

レイプ犯の被害者の年齢が多岐に渡るのは、その犯人にとって相手の年齢など関係なく、別の要因が犯人をそのような行為に駆り立てているからだ。

性欲が「子供性愛」と「成人性愛」に大別されるというのは規制推進派の自分らの都合による勝手な理屈に過ぎず、加害する側には性欲の対象としての成人・子供などという概念は存在しない。

なので、規制推進勢力の、児童ポルノの定義を次々に拡大し、かれらが児童ポルノと見なしたものを片っ端から排除する、というやり方に何の意味もない。

児童ポルノでないものに児童ポルノのレッテルを張りこれらを排除しようというのは飛躍であり、社会に無意味な抑圧を生むだけだ。

成人の女性に対し、お前は子供のような容姿で、お前がポルノに出ることによってユーザーがそれに影響され子供を性の対象にしかねない、だから出演してはいけない、というのは、むちゃくちゃな言いがかりでしかなく、これほど失礼なこともない。
個人の容姿に対する差別はもとより、紋切り型の女性像(子供っぽいのはいけない)の押しつけでもあり、女性に対する抑圧、蔑視といえる。

アイテムやシチュエーションによる演出にまで文句をつけるのも過剰反応だ。それらは文明によって後付けされたものであり、子供性愛などの本質とは異なる。子供性愛とは専ら子供のみを性的対象視する指向で、そうした指向はアイテムやシチュエーションにより演出されたまがいものでは代用できない。


セーラー服を女子学生の制服として採用しているのは日本とその周辺の文化圏くらいであり、またランドセルは日本の小学生しか身に着けない。

 

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海外の大人たちの間で日本のランドセルが流行っているという。
写真は米の女優、歌手。ズーイー・デシャネルさん。

 

アイテムやシチュエーションまで取り締まりの対象とすれば、取り締まりは際限なく拡大しかねない。例えば(未成年を連想させるから)こういう服装を大人は着てはいけないとか、理不尽な、意味のない規制が横行することになるだろう。女性の(子供っぽい等の)容姿も取り締まりの対象となりかねない。際限ない抑圧を生みかねない。

「未成年者をポルノ産業含む性風俗産業で使役することを禁止すべきだ」ということについては異論をはさむ人はいないだろう。
しかし、実際の未成年者が介在しない、作りもの、「まがい物」のポルノにまで「児童ポルノ」のレッテルを貼り、排除しようというのは飛躍である。規制推進派の自己満足でしかない。

児童ポルノ規制問題と漫画アニメ 

日本の漫画アニメの登場人物、“キャラクター”は現実の人間とはかけ離れた独特のデザイン造形をしており、そうしたキャラクター(美少女キャラクター、萌えキャラなどとも呼ばれる)を愛好するキャラクター文化というものが一大ムーブメントとなっている。

“キャラクター”は現実の人間の延長上にあるのでなく、それ自体が独立した、実像する存在として認知されている。

こうしたなかで、それらの性表現は児童ポルノとして規制対象にすべきだという主張はあまりに突飛である。

 

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英国営放送BBCが、日本のアニメ漫画を児童ポルノと名指しし非難する記事に掲載された画像。日本のアニメ(アニメキャラクターの性表現、ソフトな性表現をも)をBBC児童ポルノであるとし執拗に攻撃する。いったいこれらのどこから児童ポルノなどという発想が生まれてくるのだろうか??