山田太郎氏が“引退宣言”。引退に言及した以上いつまでもダラダラと活動続けてないでさっさと去るべき。

参議院議員で「表現の自由を守る会」代表・山田太郎氏が“引退宣言”し、表現規制反対派界隈に衝撃が走った。

恒例のコミケ街宣への反響が乏しく空回りするばかりか、演説のさして重要でないような部分が切り取られ批判されたことで心が折れてしまったらしい。

山田氏のコメント(オンラインサロン38号 「軽減税率適用のために有害図書排除!?」より)

http://taroyamada.jp/?p=9409

 

togetter「8/15のさんちゃんねるでの山田太郎氏の重大発表とその反応。」 のコメント欄でも書いたが、私は山田氏の引退はむしろ歓迎である。
最近の山田氏の活動は不可解な点が多く、漫画やアニメ文化にとって氏の活動はプラスどころか脅威となる恐れがある。

「軽減税率」問題について、内容は上記のリンク先の山田氏のコメントに書かれているのでわからない方は確認していただければと思う。
出版業界やクリエイターにとって売り上げは死活問題であり、彼らが軽減税率を求めるのは当然だし、自主的に審査団体を作り区分けするというのは一つのやり方である。
そもそも成年コミックに何が何でも軽減税率を!、というひとが果たしているのか?有害図書指定されたって通常の税率払うだけである。別に排除されるわけではない。「有害図書」という言い回しが気に入らなければ別の表現を考えればいいだけのことである。

有害図書指定罷りならんとする一点張りで、その結果受ける業界やクリエイターの不利益など知ったこっちゃないというような傲慢かつ無責任な態度が、支持者の氏に対する厳しい見方につながったのではないだろうか。

 


私が山田氏の活動の中でも特に懸念しているのは「アニメーターの待遇問題」だ。
今のアニメは、クリエイターらの過重な負担、製作委員会など業界の赤字覚悟の出資、愛好家の買い支え、・・・・、等々微妙なバランスのもとでどうにか成り立っているのが現状だ。
もちろん、現状のすべてを肯定するつもりはない。
業界なども今のままではいずれアニメ文化は行き詰まりかねないと危機感を抱き、状況の改善に向け試行錯誤している。

だが山田氏は業界のどこどこが不当に搾取してるなどとスケープゴートを次々仕立て上げてはバッシングをおこない、自分がいかにこの問題に取り組んでいるかという姿勢をアピールして見せる。
業界もアニメ漫画文化の重要な担い手の一角である。一方山田氏はその顧客ですらないにもかかわらず。

山田氏は「動画マン」という一職種の年収110万円という部分のみを切り取って面白おかしく騒ぎたてる。
動画が報酬が低くやって行けず9割がやめていくという主張も奇妙である。動画の報酬が低いことなどハナからわかっていることで、やめていく大半は原画などに上がれず「能力に限界を感じた」人がほとんどだろう。
ちなみに動画マンとはアニメーターには原画や作監にステップアップするまでの修業期間と位置付けられ、また動画の大半はアジア諸国に発注されていてそこと競合する。
無理な待遇改善で、関連企業は深夜アニメのような儲けの少ないリスクの高いビジネスモデルからの撤退を余儀なくされる可能性がある。
だがそんなことは山田氏にとって「どうでもいい」ことなのだろう。軽減税率問題と同じく、とにかく自分をアピールし、活動実績を作ることだけが目的であり、その結果おこることなど「知ったこっちゃない」。


山田氏は自分はオタクではない、アニメに興味ないというが、そのような人間がアニメの将来のことを真剣に考えるだろうか?
深夜アニメ、休日午前のアニメ、劇場アニメの区別すらつかず、家電と同じく深夜アニメというビジネスモデルをやめさせ、リソースを劇場大作アニメ3作くらいに集約すれば、或いはテレビアニメならドラえもん名探偵コナンなど安定した視聴率や収益が見込めるロングセラー番組に絞れば日本のアニメは競争力が維持できアニメーターの待遇問題も解決する、くらいに考えているのではないだろうか(元々氏はネオリベの旧みんなの党出身でビジネスの世界に身を置いていた人間でもある)。

アニメーター待遇批判というものは現状のアニメ批判文脈で出てきた。
今のアニメは同じようなテンプレアニメだらけで独創性がない、エロや暴力、萌えで視聴者を釣ってる、ゴミのようなアニメで溢れている、それは悪労働条件によるアニメーター使い捨てで粗製乱造がおこった結果である、今のアニメ文化はいったんリセットしなければならない、と。
今のアニメを叩きたい連中(老害)がアニメーター待遇問題をダシに使ってアニメを叩いているだけだ。アニメーターや彼らの生み出した作品へのリスペクトなど微塵もない。そういった勢力と山田氏が結びついてしまった。
庵野氏がMANGA議連に担ぎ出されたが、その影響があったのかもしれない。
とにかく山田氏は一度暴走はじめたら歯止めが効かなくなる。
その山田氏自ら身を引くと言い出したなら願ったりである。

山田氏に次の参院選に出馬してほしいという声もあるが私は反対である。
このような人物に政治権力を与えようものならアニメ文化など一瞬のうちになぎ倒されてしまうだろう。いまや規制推進派以上に「超々」危険人物である。

氏のサロンから1年で100人近くが去った。資金まで提供して氏の活動を支えようというコアな支持者がである。山田氏への風当たりは思った以上に強いように感じる。
29万というのは基礎票でも何でもない、ただの浮動票にすぎない。おそらく次の選挙に出れば票は半減である。

いま身を引けば29万票を獲得した元参議院議員として山田氏自身もメンツを保てる。
山田氏は引退に言及した以上、ダラダラと活動続けてないで潔く一刻も早く去るべきだし、氏を引き留めるべきでない。